本年もよろしくお願い致します。
1月に参加した2つのセミナーについて報告させて頂きます。
1つ目はJBVPセミナーです。
テーマは「肥大型心筋症の診断・治療(前編)」、講師は竹村直行先生でした。
肥大型心筋症とは、猫の心臓病の中で最も多い疾患の1つです。
そして他の心臓病同様に、手術などで完治を目指すことが難しく、早期診断によって適切な薬物治療を実施し、進行を抑制することが重要です。
けれども猫の肥大型心筋症の症状は様々で、特徴的な症状を示さないことも多々あります。
また、そもそも猫は犬と比較して心臓が小さく、心拍数も速いため、検査の難易度が高めです。
今回の講義では、見逃されている可能性のある猫の肥大型心筋症の特徴と診断のポイントについて勉強することが出来ました。
2つ目は山口県獣医師会主催の小動物講習会です。
テーマは「小動物の甲状腺疾患と糖尿病の診断・管理」、講師は東京大学の松木直章先生でした。
主に「犬の甲状腺機能低下症」、「猫の甲状腺機能亢進症」、「犬の糖尿病」、「猫の糖尿病」のお話がありました。
講師の松木先生曰く、「犬の甲状腺機能低下症」は誤診され、必要のない治療を受けている症例が非常に多いということでした。
そのため正確な診断を行うための方法を中心に勉強しました。
「猫の甲状腺機能亢進症」については、日本と欧米とで原因疾患の割合が大きく異なります。
そのため、海外から報告された論文をそのまま日本の猫に当てはめるのは注意が必要です。
先生には日本に多いタイプの甲状腺機能亢進症を中心に包括的にお話頂きました。
糖尿病というと、ヒトでも成人の11人に1人が持っていると言われ、
近親者や知人に実際に糖尿病と診断され治療を受けている人がいる方も多いのではないでしょうか?
糖尿病と一口に言っても様々な原因があり、原因によって治療も異なります。
「ヒトの糖尿病」と「犬の糖尿病」、「猫の糖尿病」は同じように見えても、異なる点が沢山あります。
ヒトで行われる治療の一部(経口血糖下降薬など)が動物には用いられない理由なども含め、
混同されやすい各動物における糖尿病について、わかりやすく勉強することが出来ました。